2023年04月09日

秋から春は超うまいじゃがいも使用

 はますかむすびのポテトサラダはすべて手作り。惣菜やおむすび弁当で人気です。
 年間を通じて、材料の野菜は国産、ハムも添加物を極力使わずていねいに作られたロースハムを使用しています。
 じゃがいもの産地について初夏から秋のはじめ頃までは全国様々ですが、秋から春にかけてのじゃがいもはほとんど生産者からの産直品を使っています。
 生産者は北海道中富良野町の農楽舎(のらや)さん。ご夫婦とも首都圏で有機農業関係の仕事をされたあと研修を受けて2001年に北海道に入植。苦労しながら有機農業を続け、子育てしています。農家になる前からの知り合いで、おむすび屋を始める前から毎年のじゃがいもを楽しみにしていました。
 秋からは掘ったばかりのじゃがいも(北あかり、とうや、北海こがねなど)をいただきますが、どれもうまみが豊かです。そして、春には「越冬じゃがいも」が届きます。秋に収穫したじゃがいもをもう一度土の下に入れて雪の下でひと冬過ごさせたもの。雪の下だと温度が安定して冷たく、じゃがいものでんぷんがゆっくりと糖に変化していくので甘みがさらに増します。だからこの時期のポテトサラダはきび糖の量を減らして調整しています。貴重な雪の下じゃがいもでつくるポテトサラダが食べられるのは4月から5月の間です(年によって期間は変わります)。

 ちなみに、2023年は4月2週から5月末を予定。

農楽舎
https://www.norayafurano.com/
posted by むすびぃ at 12:40| おむすびうんちく

2021年04月04日

塩むすびを食べてみて

塩むすびを食べてみて

 はますかむすびでは、塩むすびを推しています。
 実は、いちばんおいしいおむすびは、「塩むすび」です。
 まちがいありません。
 小さな子どもたちが、こぞって「しおが食べたい」と指さしますが、栄養面などを考えて、大人の皆さんは塩以外を選ぶことが多いようです。
 また、毎日20種類前後のおむすびが並んでいるので、どうしても「塩むすび」が後回しになってしまいます。それはよく分かります。
 それに、ここだけの話しですが、安いおむすびより高いおむすびを買っていただいた方が経営的には助かります。
 商売抜きで「塩むすび」を食べてほしいです。

 ごはんの表面が塩でしっとりつやつやしたおむすびは、塩をかけたご飯とも違うおいしさがうまれます。
 塩むすびは、海苔をつけたり、混ぜご飯にしたおむすびとはぜんぜんちがう、ごはん本来のおいしさを引き立てたおむすびです。
 ごはんには、こんなおいしさがあったのか! 塩ってなんてあまいんだ!
 と、いつも思います。
 黒瀬農舎のあきたこまちのおいしさをおもいっきり引き出してくれるのが、塩むすびです。
 
 ちなみに…
 塩は、「シママースやきしお」を使っています。シママースは沖縄の「青い海」さんが沖縄で作っている塩で、メキシコまたはオーストラリア産の海塩を沖縄の海水で溶かして再結晶化したミネラル豊富なおいしい自然塩です。
 いまでこそ、日本各地で海水を使った自然塩があたりまえに売られていますが、1997年までは政府の塩専売法により認められていませんでした。しかし、青い海さんは、伝統的な塩づくりの技術を残そうと、沖縄の日本復帰後、すぐに政府と交渉して1974年からシママースの製造販売を行ってきました。安定しておいしい塩を作り続けています。はますかむすびスタッフは、1990年頃から日常的にシママースを使い続けています。
 一般的な自然塩はしっとりした塩なので、塩を炒って粒がさらりとした「シママースやきしお」を使っています。
posted by むすびぃ at 17:43| おむすびうんちく

2021年03月14日

いぶりがっこチーズ(おむすび)

いぶりがっこいぶりがっこ.jpgチーズ

 いぶりがっこを細かく刻み、ご飯と混ぜておむすびにして、芯にチーズを入れて海苔で巻いています。いぶりがっこは、燻製した大根を糠と塩だけで漬け込んだもので、燻製のかおりが強く、発酵食品でもあるのでチーズと相性がとてもいいのです。
 ちょっと高めの居酒屋さんで薄くスライスしたいぶりがっことクリームチーズを合わせたおつまみなどもあり、おつまみとしても最高。
 いぶりがっこは、かたい漬け物なので、おむすびと合わせるために細かく刻んでいます。食べやすい食感といぶりがっこの存在感をだすのに苦労しました。3月から5月過ぎごろまで提供しています。

 いぶりこうこ
 使っているのは、岡山県真庭市中和地区で作られている「いぶりこうこ」。作り方はいぶりがっこと同じですが、「いぶりがっこ」は地域ブランド名なのです。
 作っているのは、一般社団法人アシタカさん。かっこいい名前です。
 アシタカさんは、中和地区の地域おこしを目的にしています。地元の森林整備で出た間伐材を地域の人達から有償で引き取って、それを薪に変え、地元の公共温泉兼ホテルの薪ボイラー燃料として納入し、小さな経済を回しています。それ以外にも、地域の資源を活用して小さな経済をつくろう知恵をしぼっています。
 いぶりこうこもそのひとつ。中和地区はかつては中和村という小さな村で、岡山県と鳥取県の県境の山村です。近くには蒜山高原(ひるぜんこうげん)があって、そちらは牧場などもある広大な高原ですが、中和地区は山あいに田んぼと畑がいりくんだ里山です。このあたり一体は「蒜山大根」というブランドで高く大根が売れた時期がありました。立派な大根ができます。いまでは作る人も少なくなったおいしい大根と、間伐材、それに米ぬかを使ってできるのが燻製大根漬けです。アシタカさんは、秋田のいぶりがっこの現場に行って作り方を教わり、試行錯誤をして本場にひけをとらない「いぶりこうこ」を完成させました。
 毎年秋に大根を収穫したあと、それを3日以上燻製小屋でいぶすのですが、それは誰かが72時間以上つきっきりになるということです。それを聞くだけで気が遠くなりそう。
 アシタカさんでは、冬場に発酵がよくなるよう、つけ込みには、糠、塩と、ざらめ糖を使っています。ざらめ糖を入れることで発酵が安定するのです。ですが、少し甘くなるので、無理をお願いして、糠と塩だけの辛口仕込みをお願いしています。これは、いまのところ、はますかむすびと、旅館1店だけで使わせて頂いています。ありがたいことです。

 さて、アシタカさんとはますかむすびのつながりですが、実は、大将の私が、おむすび店を始める前、数年間、中和村の地域おこしの仕事をお手伝いしていたのです。アシタカさんの設立にも関わりました。
 中和地区は、最近は全国的にも注目を集めています。というのも、移住者が増えているのです。以前から、たとえば蒜山耕藝さんのように、自然栽培を軸にした暮らしと仕事(なりわい)を求めて移住してきた方もいます。その上、真庭市とNPO共存の森ネットワークさんが共同で「真庭なりわい塾」を開講し、都市の人が農山村に移住して暮らすための実践的な方法や考え方を学べるようにしており、その塾生の一部が移住して新たなとりくみをはじめたりしているのです。
 残念ながら、はますかむすびをはじめてからは、1度しか真庭市を訪問していません。
 また行ってみたい大切な場所です。
 いぶりこうこを細かく刻みながら、頭の中では中和の風景を思い返しています。

 少しだけですが、いぶりこうこ単体も店頭で扱っています。

アシタカ
http://ashitaka.or.jp/
posted by むすびぃ at 17:38| おむすびうんちく